制限納税義務者
12.12.2025
Q&A 弁護士のための相続税務70
Q:父が亡くなりました。相続人は、私と妹ですが、妹は10年前からア メリカに移住し市民権を得ています。日本に居住していない妹も、日本の 相続税の申告が必要でしょうか。
A:被相続人の国籍及び住所地、相続人の国籍及び住所地,相続する財産の 所在地により、相続税の納税義務は異なります。妹様がアメリカに移住し市民 権を得ている場合であっても、お父様の住所地の状況や財産の所在地によって は、日本で相続税の申告が必要となる可能性があります。
解説:
(1)相続税の納税義務者
相続税の納税義務者は、無制限納税義務者と制限納税義務者とに大きく区分 されます。無制限納税義務者に該当する人については、全世界の財産に対し日 本の相続税が課され、一方、制限納税義務者に該当する人については、日本国 内の財産に対してのみ日本の相続税が課されます。
納税義務者の区分については、次の表のとおりです。
①「一時居住者」とは、相続開始時において在留資格で一定のものを有する 人であって、その相続開始前15年以内において日本に住所を有していた期間 の合計が10年以下であるものをいいます(相法1の3③一)。ここで、在留 資格で一定のものとは、出入国管理及び難民認定法別表第一の資格をいいま す(下記②も同じ)。
②「外国人被相続人」とは、相続開始時において在留資格で一定のものを有 し、かつ、日本に住所を有していた被相続人をいいます(相法1の3③二)。
③ 「非居住被相続人」とは、相続開始時において日本に住所を有していなかっ た被相続人であって、その相続開始前10年以内のいずれかの時において日本 に住所を有していたことがあるもののうちそのいずれの時においても日本国 籍を有していなかったもの、又はその相続開始前10年以内のいずれの時にお いても日本に住所を有していたことがないものをいいます(相法1の3③ 三)。
相続税の納税義務者のうち、制限納税義務者に該当する場合には、日本の相 続税の課税対象となるのは、日本国内に所在する財産に限られ、国外の財産に ついては、日本の相続税の課税対象とはなりません。したがって、遺産の分け 方を考える際には、制限納税義務者が「国外財産を取得するような分け方方とす ることにより、日本の相続税を少なく抑えることが可能です。
(2)財産の所在地
主な財産の所在の判定については、次のとおりです (相法10)6 (後記12参照)。 ただし、日米相続税条約では、一部異る取扱いがあるため、留意が必要です。
(3)外国国籍の取得と日本国籍の喪失
納税義務者の区分の判定に当たり、国籍はその要素の一つです。外国国籍の 取得と日本国籍の喪失については、国籍法により、日本国民は、自己の志望に よって外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う (国籍法11①)、外国 の国籍を有する日本国民は、その外国の法令によりその国の国籍を選択したと きは、日本の国籍を失う (国籍法11②) と定められています。
なお、納税義務者の区分の判定に当たっては、日本国籍と外国国籍とを併有する重 国籍である場合には、日本国籍を有する人として判定します (相基通1の3・ 1の4共-7)。
(4)規模宅地等の特例の適用
小規模宅地等の特例のうち、被相続人の居住の用に供されていた宅地等につ いては、被相続人に配偶者がおらず、また、同居親族もいない場合には、いわ ゆる「家なき子」が取得することになり、適用が可能です (後記19 (3)参照)。 この「家なき子」は海外に居住している相続人も対象になりますが、その要件 の一つに、「居住制限納税義務者又は非居住制限納税義務者のうち日本国籍を 有しない者ではないこと」というものがあります (措規23の2④)。そのため、小規模宅地等の特例の適用可否を検討する際には、この点に留意する必要があ ります。 なお、小規模宅地等の特例は、国外に所在する宅地等であっても対象となります。
財産の種類 所在の判定
動産 その動産の所在。
不動産又は不動産の上に存する権利 その不動産の所在。
船舶又は航空機 船籍又は航空機の登録をした機関の所在。
預金、貯金、預金又は寄託金で次に 掲げるもの
① 銀行、無尽会社又は株式会社商 工組合中央金庫に対する預金、貯 金又は積金 その受入れをした営業所又は事業所の所在。
② 農業協同組合、農業協同組合連 合会、水産業協同組合、信用協同 組合、信用金庫又は労働金庫に対 する預金、貯金又は積金
生命保険契約又は損害保険契約など の保険金 これらの契約を締結した保険会社の本店又は 支たる事務所の所在。
退職手当金等 退職手当等を支払った者の住所又は本店若 しくは主たる事務所の所在。
貸付金債権 その債務者の住所又は本店若しくは主たる事 務所の所在。
社債、株式、法人に対する出資又は 外国預託証券 その社債若しくは株式の発行法人、出資され ている法人、又は外国預託証券に係る株式の 発行法人の本店又は主たる事務所の所在。
国債、地方債 国債及び地方債は、法施行地(日本国内)に 所在するものとする。外国又は外国の地方公 共団体その他これに準ずるものの発行する公 債は、外国の所在に属するものとする。
その他の財産 その財産の権利者であった被相続人の住所。
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